月別アーカイブ: 2012年11月

「帰国しない子女」

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こんにちは。Wonderful☆Kidsの狩野みきです。

先日、友人が「おもしろい記事が日経に載っているよ」と言って、加瀬豊氏(双日会長) の手になるコラム(2012年10月29日夕刊)のことを教えてくれました。

題して「帰国しない子女」。

最近、駐在を終えると一人寂しく日本に帰国するお父さんが増えている、というのです。家族はそのまま居残り、子どもは引き続き海外の教育を受けるのだそうです。

このようなケースは欧米で中高を過ごした子どもたちによく見られる傾向で、彼らが日本に帰国したがらない理由のひとつは、どうやら欧米の学校での教育と関係があるらしい、と加瀬氏は書いていました。

欧米の学校教育は、自分の意見を持ち、それを皆の前で発表し、互いに意見交換をしながら前に進んでいくという性質のものだ、とこのコラムにはありました。たしかにその通りで、一人一人の意見を重視するこのような教育は、日本の今の教育との決定的な違いとも言えます。

一人一人の意見を重視する、という姿勢は、Wonderful Kidsの基本姿勢でもあります。主義主張の強い子どもを育てるのではなく、自分の意見も他の人の意見も大事、だからこそ一生懸命考えるし、他の人の話はきちんと聞いて、きちんと理解する。子どもだけでなく、大人にも(自戒の念をこめて)とても大事なことだと思っています。

先ほどの加瀬氏のコラムの終わりの方には、「そんな[互いの意見を重視するような]環境に育った帰国しない子女たちから見ると、日本の社会はいかにも『ぬるま湯』で、自分を成長させる場としては選択肢から外さざるを得ないという」とありました。

「ぬるま湯」かぁ…とあらためて考えさせられました。

と同時に、この1文は100%の聞き語りなのか、それとも加瀬氏の何らかの解釈が入り込んでいるのか、ということも気になりました。最終的にこのような表現に氏が行き着いた背景には何があったのかなぁ、とあれこれ思いをめぐらせました。

文字には完全に表しきることのできなかった「書き手の考え」に思いを馳せること。今私が気になっている、いちばんのテーマです。「正解」をはじき出すためだけに文章を読むのではなく、その文章を書いた人の立場に立って考え、きちんと理解すること。

子どもたちと一緒にじっくりと考えていきたいテーマです。

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子どもと一緒に想像力を鍛えよう

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こんにちは。Wonderful☆Kids の狩野みきです。

我が家の息子はもう少しで5歳。最近は保育園であった出来事などもあれこれ報告してくれるようになりました。

これくらいの年齢の子どもはまだ語彙が少ないですし、「報告」と言ってもかなり断片的なものです。時系列や因果関係などを軽く越える自由〜な話のつむぎ方なので、そこには何とも言えない独特の味わいがあります。自分の思いを相手に一生懸命伝えようとするひたむきさも、この年齢の子どもならでは。でもそのひたむきな姿に、「伝える」ということの意義をあらためて教わることもあります。

そんな小さな子どもの話にずーっと耳を傾けていると、「あれ、さっきとつじつまがあわないよ」ということもしばしば。聞く側にはそれなりの理解力が必要なのですが、それがまたかわいらしく、楽しくもあります。

先日、そんな息子がお夕飯時に「エミリーときんのどんぐり」という絵本の話をしてくれました。保育園で先生が読んで下さったのがとても印象に残っていたようで、あらすじをせっせと披露し始めたのですが…

「エミリーが朝起きたらね、木が海賊船の旗になっちゃってて、それで、その旗が船になって、金色のどんぐりを見つけたんだけど、エミリーはそうしたらいなくなっちゃったの。イルカの背中にエミリーは乗ったんだよ」

…なぬ!?「木」ってどこの木?旗になってから船に化けたの?金色のどんぐりって魔法使いみたいな存在?どんぐりの精?いなくなっちゃってからイルカに乗ったの?それとも、イルカに乗ったから「いなくなっちゃった」の?それに、この話のオチって何??

頭の固い「大人」の私には、理解できないことだらけ。理解できないからこそ、どうしてもこの話の全貌を知りたい!という思いがますます強くなりました。

そして小3の娘と二人、息子の話では語られていない、この絵本のお話の「空白」を埋めるために、あれこれ質問してみることにしました。

「ねえ、その木って、ある日いきなり海賊船になっちゃったの?」
「なんでどんぐりが金色なの?」
「なんで金色のどんぐりを見たらエミリーがいなくなっちゃうの?」
「金色のどんぐりってどこから出てきたの?」
「エミリーがいなくなっちゃった間、お父さんやお母さんは心配しなかったの?」

もう、質問攻めです。でも息子は、自分の話に母親と姉がすさまじい興味を示しているのが嬉しいのか、とても誇らしげに一生懸命答えてきます。

それでも、やはり4歳児の息子の答えには「限界」があり…例えば「金のどんぐりがはしごにささってたんだよ」と言うので「なんで?」と尋ねると「うーん…」と返答に困った様子。

そこで、私と娘とで、「なぜ金のどんぐりがはしごにささっていたのか」という理由をあれこれ想像して言ってみました。

私「すごい風が吹いてきて、どんぐりはきっと、はしごにはまっちゃったんだ」
息子「 ちがうよ、はしごに『はまった』んじゃなくて『ささった』んだよ」
娘「誰かがはしごに金のどんぐりを刺しておいた、とか?」
息子「ブッブー」
私「じゃあ、どんぐりは妖精なんだ、だから、はしごに自分から刺さっていったんだ」
息子「ちがうよ、どんぐりは妖精じゃないよ」
娘「わかった!そのはしごはもともとどんぐりの木でできていて、だから最初からささっていたんだ」
息子「あたりーぃ」

果たして本当のお話はどうなっているのか未だにわかっていないのですが、こんなQ&Aセッション(?)を20分ぐらいは続けたでしょうか。

お話の「空白」を埋めるべく、想像力を使ってあれこれ可能性を考えるのは、もう、ほとんどブレスト(brainstorming)です。答える度に息子にダメ出しされながらも、これは想像力がとても鍛えられるなぁ、と感じました。

大人にしても、子どもにしても、「考える力」に想像力は欠かせません。相手の言い分を理解したり、相手の立場に立って考えるためには、「私があの人だったらどう考えるかな」という、柔軟な想像力が必要になってくるからです。

そして、この想像力。訓練すればどんどん磨かれていきます。

小さい子どもの話を聞くことによって磨ける、想像力。皆さんも、小さな子どもの「お話の空白を埋めること」、是非、試してみませんか。

こちらの想像力が磨かれることはもちろん、親子のコミュニケーションも盛り上がりますし、子どもたちはコミュニケーションすることの楽しさを体感してくれると思います。

そして、何よりも、普段なら受動的に聞きがちな「子どもの報告」にお父さん・お母さんが積極的に加わってきてくれることが、子どもにとってはこの上なく嬉しいのかもしれません。

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