月別アーカイブ: 2012年1月

伝説の編集長が教えてくれた、視点を増やす方法

<ワークショップ情報>

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こんにちは。「子どものための Critical Thinking Project」を主宰しています、狩野みきです。

ビジネス・ブレークスルー大で私が担当している原書講読の講座では今、Rules of Thumb という本を読んでいます。副題には 52 Truths for Winning at Business Without Losing Your Self とあるので、ビジネスで成功するためのハウツー本かと思って読み始めたのですが…

読み進めていく内に、この本は「ハウツー」を越えた、普遍的な何かを教えてくれる書であることがわかってきました(邦訳は「魂を売らずに成功する」)。著者の Alan M. Webber 氏は米の伝説のビジネス誌の元編集長。奥が深いんです。

たとえば、この本には「目的は何か、問い続けよ」というルールが登場します。本当の目的がわからないままでは何の方向性も見えてこない、ということなのですが、このルールはどんな世界でも通用しますよね。たとえば、何のために留学/転職/結婚するのか…目的がはっきりしていないと、失敗する可能性は十分にあります。

このブログでも、視点を増やすことの重要性については何度か書いてきましたが(たとえば、こちら)、ここでおさらいをしますと:視点を増やすことは、①物事の全体像を見るためにも、②自分とは違う立場にいる人の主張を理解するためにも、③わかりやすく説明するためにも有用で、critical thinking—「きちんと考える」プロセス—においては、視点を増やすことは不可欠なのです。

Rules of Thumb には、視点を増やすことがビジネスチャンスにつながる、と書いてあるのですが、その視点を増やす方法がなんともおもしろいのです:

What would an anthropologist say about your company culture? If you invited a cartoonist to draw your business, what would the picture look like? (文化人類学者は、あなたの企業文化をどう評価するだろうか。あなたのビジネスを漫画にしてもらったら、どんな感じになるだろうか)

文化人類学者やマンガ家を想定して「部外者の視点」に思いを巡らすという手法はビジネスだけでなく、様々なシーンで活用できると思います。(今これを読んで下さっている方が文化人類学者かマンガ家さんであれば、話は変わってきますね)。

たとえば、自分という人間。自分は「こういう人間」だと思っているけれど、もしもマンガ家(山藤章二氏のような風刺漫画家のイメージ)に自分の絵を描いてもらったら、思っていた通りのイメージになるのか。日頃苦手だなぁ、と思っている人のことも描いてもらったら、自分と同じような「苦手」なイメージの絵になるのかどうか。

あるいは、自分の住んでいる辺りや所属先(学校、お稽古場、グループ、職場など)を、もしも文化人類学者が研究したら、どんな「像」ができ上がるのか。

普段見慣れている人や風景を他者の視点から眺めてみると、自分が抱いていたイメージを問い直すことになるかもしれませんし、また、「いやだなぁ」と思っている性質も「いや、けっこういいのかもしれない」と思い直すきっかけになり得ると思います(逆も真なり、ですが)。

マンガ家と文化人類学者の「目」、試してみませんか。

田中ウルヴェ京さんと、母親力

<ワークショップ情報>

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あけましておめでとうございます。

「子どものための Critical Thinking Project」を主宰しています、狩野みきです。今年も本プロジェクト同様、どうぞよろしくお願いいたします。

年があらたまったところに年末の話で恐縮ですが…昨年の暮れ、メンタル・トレーナーの田中ウルヴェ京さんに会ってきました。京さんはソウル五輪のシンクロ・デュエット銅メダリスト。現役を退いた後は渡米し、ストレスをうまく対処するための「コーピング」の理論を勉強、現在はコーピングのコーチとしても多方面で活躍なさっています。

実はコーピング、critical thinking と密接につながっているらしいのです。ストレスをうまく処すためには「自分の頭できちんと考える」ことが大事なのだそうですが、「自分の頭できちんと考える」能力を磨くためには critical thinking が必要、というわけなんですね。

critical thinking とコーピングの理解をお互いに深めることが、京さんとの会合の「表向き」の目的でしたが、裏向き(?)の目的は、彼女との30年ぶりの再会。実は、彼女は私の小中学時代の友人でもあるのです。

30年ぶりの再会に話は尽きませんでしたが、中でも格別に印象に残ったのが、彼女のお母さまの話でした。通学前に水泳の練習に通う娘のために、お母さまは毎朝3時に起きてお弁当を作り、練習に連れて行って下さったそうです。それを何年もひたすら続けるって…私には想像を絶する世界です。

「でもね、母は一度もたいへんだとか、あなたのためにしてあげてるんだとか、におわせたことすらないのよ。いつも明るくて。自分が母親になってみると、それがいかにすごいことか、わかるのよね」と二児の母である京さんは話していました。

自分が親になってみて気づくことのひとつに「自分の親のすごさ」があると思います。私などは、親がしてくれたことがどれだけ「すごい」ことだったのか、恥ずかしながら今やっとわかり始めたところです。と同時に、私は親として、子どもにどれだけのことをしてやれるのか…ということも考えます。

親としての自分。自分はどういう考えを持っているのか、子どもや家族に何をしてやれるのか。情報があふれ、急激に変わっていく現代だからこそ、まわりに流されずに、親としても、きちんと考えて生きていきたいと思います(これがなかなか難しいのですよね)。

今月末には都内で「お母さんのためのクリティカル・シンキング」というワークショップを行ないますが、「母親として、一個人として、クリティカル・シンキングをどう応用できるか」という話をお母さんたちと一緒に考えていきたいと思っています。ご興味のある方は、是非お出かけください。

ちなみに、京さん。アメリカに留学するきっかけを作ったのは、この私だったそうです。「スイスの大会に遠征した時に、当時ドイツに住んでいたみきちゃんに会ったでしょう、その時にみきちゃんが話す英語を聞いて、かっこいい〜って思ったの。競技引退後には英語を必ず勉強しようってその時思ったんだ」。なんだか、照れちゃいます…

英語だけでなく、より多くの人に考える「きっかけ」を与えることができるよう、今年もがんばっていきたいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。