月別アーカイブ: 2011年12月

大学生も一生懸命考えています

<お知らせ>

・2012年2月4日、女性向けワークショップ「女性のためのクリティカル・シンキング」を開催します。詳しくは、こちらをご覧下さい。

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こんにちは。「子どものための Critical Thinking Project」を主宰しています、狩野みきです。

クリスマスはいかがお過ごしでしたか。

今年も残すところ、あとわずかですね。私が受けもっている大学の授業は大体1月に終了するので、大学に関して言えば「今年度の授業もあとわずか」です。

毎年この時期になると、4月から教えてきた学生との別れが近づくことを思い、なんとも寂しい気持ちになります。4月からの彼らの成長ぶりを思えば、嬉しくも頼もしくもあるのですが。

critical thinking などの授業の「シメ」は、学生によるプレゼンテーションです。毎回テーマを与えるのですが、今回のテーマは、「社会でより『使える』人材を育成するためには、大学はどうすればいいのか」。

学生たちは5-6人のグループに分かれて、「より『使える』人材を育成するため」のプログラムを約1ヶ月かけて企画し、英語によるプレゼンのための準備をします。

学生が準備をしている間、私は基本的には学生が話し合うのを聞いて、ツッコミを入れたり、ヒントをあげたり、いわゆる「ファシリテーター」に徹します。黙って話を聞いていると、ほとんどのグループが「大学は、もっと実務能力に直結するような授業を提供するべきだ、大教室の講義なんてやめよう」という方向に話が進んで行きました。すると、1人の学生が「先生、ちょっといいですか」と言ってきました。

「実務はもちろん大事だけど、ボクは、大学が職業訓練所みたいになることには疑問があるんです。大学は、哲学とか、社会では一見役に立たないかもしれない学問に触れる場でもあるべきじゃないかと…そういう学問に触れることによって人間、深みが出ると言うか…社会で『使える』人材に求められる能力って、何も、表面的なことだけじゃないと思うんです。」

色々考えているんだなぁ、と嬉しくなりました。こういう学生に出会うと、その考えをよりリアルな、より説得力をもった主張にするために、とにかく話を聞くことにしています。その後少し質問をして相手のもやもやした考えをクリアにしてあげたり、ちょっとだけヒントをあげて、考えをより深められるように導いてあげるのが、私の役割だと思っています。

気がつけば、学生相手にそんな役割を演じ続けて20年…この経験をもとに、今度は子どもたちの「考えるガイド」になりたいと思って今年立ち上げたのが「子どものためのCritical Thinking Project」です。

このプロジェクトを今年1年応援して下さった皆さま、本当にどうもありがとうございました。まだまだヒヨッコですが、さらに勉強を続けて、来年はプロジェクトをさらに前進させていきたいと思っています。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

それでは、皆さま、よいお年を…

夕方5時の鐘に想うこと

<お知らせ>

・女性向けワークショップ「女性のためのクリティカル・シンキング」を開催します(2012年2月)。詳しくは、こちらをご覧下さい。

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こんにちは。「子どものための Critical Thinking Project」を主宰しています、狩野みきです。

いきなり個人的な話で恐縮ですが、私は「三度のメシ」と同じくらい、仕事が好きです。私には小学2年の娘と3歳の息子がいるのですが、今までずっと仕事を続けてきましたし、仕事を辞めようと思ったことは一度もありません…

と書くと、「仕事は仕事、と割り切っている母親」のように聞こえますが、実は全然そうではないのです。いつも、大好きな仕事と大好きな子どもたちの狭間で揺れ動いている気がします。「何を贅沢な」とお叱りを受けるかもしれませんが。

私の住んでいる辺りでは、夕方の5時になると「夕焼け小焼け」の鐘というかチャイムが鳴るのですが、私はたいていこのチャイムを、家で仕事をしながら聞いています。

娘がもっと小さかった頃は、このチャイムを聞くたびに「娘は今、同じチャイムを保育所で聞いているんだな、どうして一緒に聞くことができないんだろう」と切なくなりました。「夕焼け小焼け」のメロディがまた、切ない気持ちを盛り上げるんですね…

今でも、このチャイムを耳にすると胸がチクッと痛みます。そして、色々な想いが頭と心を駆け巡ります。

日中一緒にいてやれない分、夜は一緒に思いっきり楽しい時間を過ごそう、と思っていたのにうまくいかなかったと悔やむこともあれば、子どもの行事で時間が取られて「仕事ができない」と不平に感じることもあります。他の親は付き添ってくれるのに「うちだけママが来てくれない」と言って子どもが泣いた後は、やるせなくて自分を責めたり。働く母は皆同じような悩みを持っているはず、と自分に言い聞かせたり、いや、皆もっとたいへんなんだからシッカリせい、と自分に喝を入れたり…

「子どものためのCritical Thinking Project」は、私が長年温め続けてきたプロジェクトです。私の仕事史上、最高に好きなものですし、このプロジェクトを立ち上げてから毎日がワクワクの連続です。

でもこうやって続けていられるのは、子どもや夫、親、そして友人たちが励ましてサポートしてくれるからなのですよね。それを忘れてはいけないのだと、「夕焼け小焼け」を聞くと、あらためて思います。

仕事が好きなだけに葛藤があって、母親としてできる限りのことはしてあげたいと毎日不器用に考えている、ということを、子どもたちがいつか、理解してくれる日が来るでしょうか。

来年は娘も小学3年生。ママが来てくれなくちゃイヤだ、と言ってくれる時期も、あとわずかなのかもしれません。思い悩んでいる今が華なのかな、とも思う、年の瀬です。